MARKETING
SOLUTION
マーケティング事例
CASE STUDY
UQと実現
顧客満足度を向上するマーケティング施策最適化
※所属部署名は2021年7月取材時点のものとなります。
UQ mobile事業は2020年10月にUQコミュニケーションズ様からKDDIへ承継されましたが、ARISE analyticsではKDDIに事業承継される以前から、UQ mobile事業、UQコミュニケーションズ様への支援を続けていました。UQコミュニケーションズ様(以下UQ)では、顧客理解に根差したマーケティングを実現しお客様満足度の向上を目指していました。そこで、ARISE analyticsはKDDIへの支援で培ってきたアセットや知見を活かして、UQへAIマーケティング支援や、分析者教育等を行ってきました。今回はARISE analyticsのプロジェクトメンバーに加えて、KDDIマーケティング企画部UQデータ分析グループリーダー(取材時点)の水谷晃さんをお迎えして、今年で支援開始から4年目を迎えるプロジェクトの裏話や今後の展望などをインタビューしました。
マーケティング施策の高度化、データ整備、分析者教育、様々なテーマに向けてUQチームと二人三脚で歩んできたプロジェクト
このプロジェクトが始まった経緯を教えてください。
UQ水谷 晃氏(以下、UQ水谷) UQでは当時から「お客様への理解を深める」ことを方針の一つとして掲げていました。ですがお客様の属性や行動などの詳細データを紐解いて活用する仕組みが整っておらず、例えば、長くサービスを使っていただくにはどうすれば良いのかという喫緊の課題に対しても、データを基にした仮説が立てられない状態でした。そのため、全社でデータ活用を進めていく土台や仕組みを作る必要性を感じていました。さらに、そのデータを適切に分析して活用出来る人材を育てていきたいと考えていました。そこで、データ活用において幅広いアセット・知見を持つARISE analyticsに、2018年1月より支援していただくことになりました。
桝本 智志氏(以下、桝本) このプロジェクトは今年で支援を開始して4年目になります。まずはUQ社内で重要なKPIになっていた解約率を下げるためのモデル構築/施策の高度化に取り組み、その後、顧客データや施策データの整備、分析者教育、データ活用環境の整備など、分析支援にとどまらずデータを活用した業務の内製化を目指し取り組んできました。
このプロジェクトで特徴的なのは、UQ社内のデータ活用を複数部署で横断的に拡げるための「データ経営推進グループ」という組織を水谷様が中心となって立ち上げたことだと思います。私たちARISE analyticsメンバーは、このデータ経営推進グループの方々と二人三脚でプロジェクトを進めてきました。
UQ水谷 ARISE analyticsのメンバーが会社の違いなど関係なく我々に親身になって寄り添いながら、データ経営推進グループとワンチームになりプロジェクトを進めてくれました。そのお蔭でUQ内ではデータ経営推進グループがハブとなり効率的に様々な部署のデータ活用を実現することが出来たと思います。
桝本 これまで私が従事してきたKDDIへの支援では一部署が抱える課題に対して取り組むことが多かったのですが、今回のプロジェクトではデータ経営推進グループの方々とUQという組織全体の改革を進める取組みとなり、貴重な経験をさせていただきました。
このプロジェクトを通して、苦労した点やそれをどう乗り越えたのか教えてください。
桝本 今回のプロジェクトでは、⑴施策の高度化・⑵データ活用環境の整備・⑶分析者教育と、主に3つのテーマの取組みを約3年かけて行ってきました。その時々で取り組んでいるテーマで良い結果が出せると一息つきたくなるのですが(笑)、また次のテーマに向けて一からマインドチェンジをしたり、メンバーとの認識合わせが必要になったりします。その度に毎回乗り越えなくてはならない壁が沢山出てくるので大変でしたが、水谷様はじめUQの皆さんのご理解と、プロジェクトメンバーの前向きな気持ちがあったからこそ乗り越えることが出来ました。
また、UQはKDDIと比較すると顧客理解を深めるための材料となるデータ量が少なく、そういった状況でも、初めの頃はとにかく分析で良い結果を出すことにこだわって、何度も分析の限界に直面しました。その度に苦労していましたが、UQはスピード感がある企業なのでトライ&エラーを繰り返し、限られたデータ量でもどこに注力すればより良い結果を出せるのか、早く気付くことが出来ました。
横田 健太郎氏(以下、横田) 私は半年ほど前からこのプロジェクトに加わり、広告配信するお客様のリスト作成や、施策の効果検証を行っています。分析を行う中で、なぜこの結果になったのかという仮説を立てるのに苦労することがあります。その際はUQの方にヒアリングを行い、データでは読み取れなかったお客様の行動や施策のオペレーションを踏まえた深堀分析を行うなどして、示唆を導き出せるよう心掛けています。
松岡 晃汰氏(以下、松岡) 私はUQ社内で機械学習マーケティングが実施できる環境を整えるため、機械学習を自動化するプラットフォームの開発・導入を担当しました。ARISE analyticsは分析を主業とするアナリティクスカンパニーとして誕生したのでソリューション開発を行ってきた前例が当時はほとんどありませんでした。そんな中で、業務メンバーにヒアリングさせてもらいながらUI/UXを考えるのは苦労しました。ですが開発段階から水谷様やユーザーとなるUQの分析担当の方を交えて週次でミーティングを行わせていただき、機能や画面の使いやすさなどについて詳細なご意見をもらい、業務に寄り添ったソリューションを作り上げることが出来たと思います。
“分析の内製化を進めるモデルケース”として社内で呼び声が高いプロジェクトに。その秘訣は…。
ARISE analyticsメンバーの話を聞いていると、分析やソリューション開発等すべてにおいて、UQの皆さんのご協力があったからこそ、ここまで歩んで来られたプロジェクトなのだと感じます。
水谷様はこのプロジェクトを通して苦労されたことはありましたか‥?
UQ水谷 このプロジェクトが始まった当初は、私が販促関連部署にペイド広告の最適化や、コールセンターを構えるCS関連部署にテキストマイニングの説明をしても、それまで行ったことがない取り組みのため反応が鈍く、社内の理解を得るのに正直苦労した部分もありました。ですがARISE analyticsから支援を受けるようになり、データ経営推進グループと共に様々な部署のデータ活用を推進することができました。KDDIとの今までの実績があるからだと思うのですが、私が間に入らずとも営業や宣伝、CS関連部署の担当者とそれぞれ落としどころを見つけてきちんと業務を遂行してくれていたので、いつも助かっていました。
ARISE analyticsのメンバーは、支援を行う中で意識していたことはあったのでしょうか?
桝本 機械学習モデルを用いたスコアリングを基に施策を行うので、初めの何か月かは水谷様やデータ経営推進グループの方へ、重要変数一覧を見ながらどんな数値が施策に寄与するのか等、細かい技術的な説明も時間をかけて行っていました。また、ARISE analyticsが入る前から行っていた施策についても、より効果検証しやすい設計の仕方をお伝えするなどして、データ経営推進グループのメンバー内でもビジネス側・分析側の壁を作らずに認識を合わせて進められるよう丁寧に説明することを心がけていました。そこから半年過ぎた頃にデータ経営推進グループの方から業務に関して「このデータをモデリングすれば良いじゃないですか」など、私たちが気付かなかった点を指摘してもらえるまでになり、驚きました。UQの方々の理解力や努力があったからだと思うのですが、時間をかけてでもきちんと説明した成果が出て良かったなと思いました。
このプロジェクトを通して嬉しかったことや、それぞれが考える今後の展望を教えてください。
桝本 嬉しかったことは沢山あるのですが、一番初めに解約率を下げる施策で精度の高い結果が出た時は嬉しかったです。それを皮切りにプロジェクトが進むにつれて、データを中心に話をする機会が増えてUQ全体のデータ活用が浸透している実感が湧いたのも嬉しかったですね。KDDI内で「分析の内製化を進めるモデルケースはUQにあり‥!」と囁かれているという話も聞きました。
また、分析者教育の研修としてUQの分析担当の方に、実際にARISE analyticsのヒカリエオフィスに2か月間来てもらいOJTを行いました。その研修では最終的に自らプログラムを書いて分析出来るようになることを目指していたのですが、研修後はその担当者の方が一人で分析や施策の効果検証を行えるようになりました。現在では他部署からも信頼を得ているようで、すごく嬉しいです。
横田 私は、施策の効果検証で良い結果が出て、UQの皆さんと喜びを共有できた時が嬉しいですね。現在は通信業界の環境が激しく変化している最中ですが、今後もさらにお客様理解を深められるような分析を行い、クイックに施策に落とし込んで解約率を下げるなどの結果に繋げたいです。
UQ水谷 分析者の内製化はプロジェクト当初からのスコープに入っていて、まだ道半ばではありますが、その一部が実現出来ていて素晴らしいと思います。先ほどから名前が出ているUQの分析担当者はもともとCS関連部署出身で、お客様の声を集計する業務等は行っていたものの、機械学習を用いた分析等は初学者でした。ですがARISE analyticsの分析者教育を受けてからの成長は目を見張るものがあり、社内でも「データのことを聞くなら、その分析担当者へ!」と定評があります。営業部で実際に施策を動かしているメンバーも自分たちでデータに触れたり、データ経営推進グループのメンバーも徐々にARISE analyticsのメンバーとギャップを感じないような会話が出来るようになっていたり、プロジェクト当初から比較すると格段に社内の意識が変わっているのを感じます。
松岡 UQ社内の分析担当者の方が我々の開発した機能を活用して、ARISE analyticsのメンバーと分析に関するやり取りをしている様子を見るのは、業務適用されているのが分かって嬉しいですし、開発して良かったと思います。今後もUQに今まで以上に貢献できるよう、機能開発、改善をしていきたいと思っています。
UQ水谷 4年間を通してデータ活用の価値が社内に浸透し、分析者研修などを行ってきた成果が少しずつ形になっているのが嬉しいですね。ARISE analyticsといえば我々クライアントのビジネスにしっかり寄り添って考えることができるプロ・スキル集団というイメージです。KDDI支援の経験があるからUQビジネスが分かるというだけでなく、人材育成やデータ整備なども含めて、常にクライアントサイドでの価値は何かということに意識を置いて会話ができる人材が揃っていると感じます。今回のプロジェクトのようなクライアントに寄り添い伴走する進め方であれば、様々な企業にも支援を拡げられると思うので、大規模なプロジェクトになってもこの雰囲気を忘れずにいて欲しいですね。ARISE analyticsの発展を応援しています!